偏光イメージセンサ

対角11.1 mm (2/3型) 有効約507万画素白黒/カラー偏光CMOSイメージセンサ

IMX250MZR / MYR

4方向の偏光子をOn-Chip化したグローバルシャッタ機能搭載の偏光イメージセンサ

ソニーセミコンダクタソリューションズは、産業機器向けを主なターゲットとして、4方向の偏光子をイメージセンサのフォトダイオード上に形成した(On-Chip Polarizer)、3.45μm画素サイズ有効約507万画素の偏光イメージセンサ ( 以下「偏光センサ」という ) を商品化しました*1。明るさと色*2の情報に加えて、従来のイメージセンサでは感知できない偏光情報も得ることができます。これまで可視化や認識が困難であった検査への応用など産業分野での様々な可能性を広げます。

  • *1. IMX250MYR(カラー)は2018年12月商品化予定。(2018年9月20日時点)
  • *2. IMX250MYR(カラー)版のみ
Polarsens

複数の異なる角度の偏光子を画素サイズに合わせて高精度に形成したCMOSイメージセンサ画素技術

偏光子の参考画像
Source: Sony, IEDM2016, Lecture number 8.7

  • *PolarsensおよびPolarsensはソニー(株)の商標です。

特長

  • 4方向の偏光子をOn-Chip化
  • グローバルシャッタ機能
  • 高フレームレート
  • ROIモード、トリガモード搭載

4方向の偏光子をイメージセンサに搭載

IMX250MZR/MYRには4方向の偏光子が搭載されており、ワンショットで4方向の偏光画像を取得することができます。(図1) 各方向の偏光子の輝度値から偏光方向(光の振動方向)と、偏光度(偏光の度合い)を算出することができます。
後段の信号処理と組み合わせることでリアルタイム*3に偏光情報*4を得ることが可能になります。

  • *3. 後段のシステムの信号処理能力に依存
  • *4. 偏光方向と偏光度
On-Chip Lens 偏光子 フォトダイオード

図1 基本構造

偏光子をOn-Chip Lensの下層に配置

一般的な従来の偏光カメラは偏光子をイメージセンサの上に貼り合わせた構造ですが(図2)、当社の偏光センサは、On-Chip Lensの下に偏光子を配置しています(図3)。偏光子とフォトダイオードの距離が近い方が隣接画素に漏れこむ光が少なくなるため、消光比特性*5や斜入射特性が良くなります。
当社の偏光センサは偏光子を半導体プロセス上で形成しているので、従来の貼り合わせ構造の偏光センサと比較して偏光子の形成・配置の精度や、均質性、量産性、耐久性などが優れています。
また、当社の偏光センサには偏光子の上に反射防止層が設けられており、フレアやゴーストの影響も大幅に軽減されています。

  • *5. 消光比
    消光比とは、偏光特性を表す指標の一つです。イメージセンサにおける消光比は、透過軸感度と吸収軸感度の比(透過軸感度/吸収軸感度)で表され、数字が大きいほど特性が良いということを表します。

構造比較

図2従来構造(他社) 図3当社の偏光センサの構造

図2 従来構造(他社)

図3 当社の偏光センサの構造

グローバルシャッタ機能

産業機器の分野では、高速移動被写体の撮影が求められます。従来のCMOSイメージセンサでは、ローリングシャッタによるフォーカルプレーン歪みにより、正確に被写体を識別できない問題がありました。IMX250MZR/MYRでは、画素内にアナログメモリを搭載し、グローバルシャッタ機能を備えているので、フォーカルプレーン歪みのない高画質の撮影が可能です。

高フレームレート

当社のCMOSイメージセンサの列並列A/D変換技術を用いて、IMX250MZR/MYRで最大163.4[frame/s](ADC8bit)の高速撮像を実現しています。

ROI機能、および、トリガ機能を搭載

IMX250MZR/MYRでは、産業機器向けで必要となるROIモードやトリガモードをはじめとして、多彩な機能を搭載しています。任意の領域を切り出すROIモードでは、最大8 × 8の64カ所設定が可能です。外部パルスにより露光時間を制御するトリガモードでは、各種の露光方法を用意しています。

偏光とは

光には、明るさ(振幅)、色(波長)、偏光(振動方向)の物理的な要素があります。
一般的な自然光や蛍光灯などの光はいろいろな方向に振動しており、その状態は無偏光あるいは非偏光と呼ばれますが、偏光板を介することで特定の方向に偏った光(偏光)を取り出すことができます。

偏光板(偏光子)を通った光は偏光している

図4

当社の偏光センサが採用するワイヤグリッド方式では、偏光子に対して垂直な方向(透過軸)に振動する光を透過し、水平な方向(吸収軸)に振動する光を遮断します。

偏光度と偏光方向

偏光の情報は、どの振動方向に、どの程度偏光しているかの2つの要素で示すことができます。前者は「偏光方向」、後者は「偏光度」と呼ばれます。これらの情報を活用することで、これまで可視化や認識が困難であった物体表面の傷・異物・歪みなどの検査への応用や、物体の形状の認識など、さまざまな可能性が期待されます。

偏光度の例

通常、物体を見る際、その物体の表面で反射および散乱された光を私たちは見ています。反射された光は、物体の材質・色・凹凸などの表面状態や反射の角度などによって、偏光度が変わります。

図5 通常画像

図6 偏光度画像

図6の画像は、偏光度が分かるように表示させた画像です。偏光度が高いほど白く、低い所ほど黒く表示しています。図6の赤枠の中に注目してみると、革と革を縫い付けている糸の偏光度の差が大きいので、縫い目がよく見えます。

偏光方向の例

反射光の偏光方向の情報から、物体の反射面の向きが分かります。

図7 通常画像

図8 偏光方向画像

図8の画像は偏光方向が色で分かるように表示させた画像です。偏光方向の角度をHSVカラーマッピングに図9の通り配置して表示させています。図8にある立方体の上の面は水色で表示されており、以下のカラーマッピングに照らし合わせてみると、偏光方向(立方体の上の面の方向)が90度であることが分かります。

  • ※弊社評価ボードにて撮像

図9 HSVカラーマッピング

画像サンプル

ガラス傷・汚れ検査

図10 通常表示

図11 偏光度表示

同質の平面(ガラス板)上に凹凸や異物がある場合の例です(図10,11)。傷や汚れ(指紋、ゴミ)部分の偏光度が周りと差があるので見やすくなります。(図11)

錠剤充填検査

図12 通常表示

図13 偏光度表示

錠剤とアルミシートの偏光度の差が大きいことを利用すると、錠剤の充填の有無が見やすくなります。(図12,13)

歪み検査

図14 通常表示

図15 偏光方向表示

偏光方向が分かると、歪みの有無だけでなく、どの方向に歪んでいるかも分かります。(図14,15)

反射除去

図16 通常表示

図17 反射抑圧表示

偏光情報を応用すると、反射光を除去することができます。(図16,17)IMX250MZR/MYRのように4方向の偏光子があると、図17のように同時に複数面の反射を除去することも可能です。

全ての画像は、当社のIMX250MZR/IMX250MYR用評価基板に付属のソフトウェアによって出力されたものです。

表-1素子構造
項目 IMX250MZR/MYR
画素 4方向偏光子付
イメージサイズ 対角11.1 mm (2/3型) 全画素 mode
対角7.7 mm (1/2.35型) Full-HD mode
有効画素数 2464 (H) × 2056 (V)
約507万画素
ユニットセルサイズ 3.45 µm (H) × 3.45 µm (V)
オプティカル
ブラック
水平方向 前0画素、後0画素
垂直方向 前10画素、後0画素
入力駆動周波数 37.125 MHz / 54.0 MHz / 74.25 MHz
パッケージ 226-pin LGA
電源電圧VDD (標準値) 3.3 V / 1.8 V / 1.2 V
表-2撮像特性
項目 IMX250MZR/MYR 備考
感度 (白黒) 標準値
[F8]
342 mV 3200 K, 706 cd/m2、
1/30s 蓄積
感度 (カラー) 標準値
[F5.6]
430mV
飽和信号量 最小値 1001 mV Tj = 60 °C
表-3基本駆動モード
製品名 駆動モード 推奨記録画素数 ADC
[bit]
フレームレート (最大)
[frame/s]
IMX250MZR/MYR 全画素 2448 (H) × 2048 (V)
約501万画素
12 89.5
10 144.7
8 163.4
Full-HD 1920 (H) × 1080 (V)
約207万画素
12 120.0
10 120.0

図18 IMX250MZR 全方位消光比(Min)

データは条件・環境で変化することがあります

VOICE

IMX250MZR/MYRはソニー初の、商用としては現時点で世界最小*6画素サイズ(IMX250MZR/MYR)、世界初*6のカラー(IMX250MYR)偏光センサです。偏光子の構造に独自のエアギャップを作り込む工夫により、可視から近赤外の広帯域で優れた偏光特性と感度を実現しています。偏光センサでは世界初*6となる反射防止膜により効果的にフレア・ゴーストを抑制、多様な光源環境において高画質を実現していることも特徴です。
ワイヤーグリッドを偏光素子として機能させつつ、イメージセンサとしての感度も確保するには、その形状をナノメートル単位で絶妙に制御する必要があります。この事実がSimulationで分かった時は果たして実際に作れるか分かりませんでしたし、独自のエアギャップ構造も提案当初は製造や品質保証面でご心配をいただきました。また初めての偏光評価環境立ち上げでは、言葉の定義も各自まちまちで偏光角の原点や回転方向、偏光光を電場か磁場どちらで表すか等々、色々と苦労をしました。これらの課題をすべてクリアして狙いどおりの特性を確認出来た時はとても嬉しかったですし、当初は不可能と思われたアイディアを何とか実現してくれた製造現場には特に感謝しています。

  • *6. 2018/9/20現在 ソニーセミコンダクタソリューションズ(株)調べ。

左から:
山岸 一朗、西出 勤、丸山 康

後列左から:
寺田尚史、林直樹、福島健太
前列左から:
山崎知洋、松野琢磨

  • 本資料に記載されております規格等は、改良のため予告なく変更することがありますので、ご了承ください。