半導体レーザの用語解説

半導体 (化合物半導体)

半導体は、電気をよく通す良導体と電気を通さない不導体 (絶縁物) の中間に位置し、いろいろな条件により電気伝導度をコントロールできる性質を持つ物質です。
一般的には、トランジスタ、ダイオードやLSIなど、半導体の性質を利用した電子部品を総称して使われています。

トランジスタやLSIなど、今日の半導体のほとんどにはシリコン (Si) 結晶が使われています。半導体レーザなどに使用されるガリウム (Ga) と砒素 (As) からなるガリウム砒素結晶のように、2元素以上から構成される半導体を、シリコンなどの単元素半導体と区別して化合物半導体と呼んでいます。

ガリウム砒素 (GaAs) 結晶は、III-V族化合物半導体の代表的な材料で、結晶内の電子の動き (移動度) がシリコンに比べて速いため、半導体レーザの他に超高周波デバイスなどにも使用されています。

周期表抜粋

MOCVD (Metal Organic Chemical Vaper Deposition:有機金属気相成長法)

半導体レーザの製造プロセスでは、GaAsなど単結晶基板に多層の結晶を形成する工程があります。
MOCVDはMBE、LPEと共に結晶成長法のひとつで、気体から結晶成長を行わせます。材料に有機金属を用い、分子の熱分解を利用した化学反応で結晶成長を行います。

MOCVDは良質の結晶膜成長が可能で、結晶成長膜の均一性がよく、同時に多数の処理ができるなどの特長があります。

1984年にソニーが"MOCVD"法による半導体レーザを世界で初めて商品化して以来、この技術は半導体レーザ結晶成長法の主流となっています。

MBE:Molecular Beam Epitaxy:分子線エピタキシ
LPE: Liquid Phase Epitaxy:液相成長

光学ピックアップ (Optical Pickup)

光学ピックアップは、CDやDVD、Blu-ray Discなどの光ディスクシステムにおいて、ディスク上のピット (ミゾ) から信号の読み出しや、ディスク上への信号の書き込みを行う光学系+半導体レーザからなる光学ヘッドのことです。
光学ピックアップの役割は

  1. レーザ光をディスク上のピットに集光させる
  2. 集光したレーザ光をトレースさせる
  3. ディスク上のピットからの反射光を検出する

であり、光学ピックアップは半導体レーザ、レーザ光検出IC、ビームスプリッタ、集束レンズなどの部品で構成されています。

光学ピックアップ 使用波長
CD/MD 780nm
DVD 650nm
Blu-ray Disc 405nm

DVD用光学ピックアップ構造図

可視光レーザ

赤外レーザや通信用の長波長レーザに対して、レーザ光の波長で約400nm-約700nmの波長帯を持つ赤色レーザや青色レーザのような、目に見える光を発光するレーザを可視光レーザといいます。

赤色レーザ

赤色レーザはAlGaInP系の材料を使用し、波長630nm-680nm帯の赤色を発光します。赤色レーザは、DVD用光学ピックアップに用いられている他、スーパーマーケット/コンビニエンスストアのバーコードリーダ、レーザプリンタ、ポインタなどにも応用されています。

青色 (青紫色) レーザ

青色レーザはGaN系の材料を使用し、波長400nm-500nm帯の青色 (青紫色) を発光します。波長405nmの青紫色レーザは、Blu-ray Disc用レーザとして用いられています。
Blu-ray Discの原理は、CDやDVDと大きくは変わりませんが、大容量化を実現するため、ディスク上のより小さなピット (ミゾ) を記録・再生するのに、DVDより短波長の405nm青紫色レーザが必要となっています。

2波長レーザ

CD/DVDドライブの光学ピックアップには、CDとDVDを記録・再生するためのそれぞれの波長のレーザが必要ですが、1パッケージで2波長のレーザ光を発光できるものを2波長レーザと呼びます。
2波長レーザにより、2波長の光学ピックアップの部品点数の削減が可能となり、また信頼性向上にも大きく貢献し、シンプルで量産性に優れた2波長光学ピックアップを実現することが可能となりました。
2波長レーザにはモノリシック型とハイブリッド型がありますが、モノリシック型2波長レーザダイオードの開発・量産化は、ソニーが世界で初めて実現したもので、プレイステーション2やDVDプレーヤに採用されています。2つのLDチップを1パッケージに納めたハイブリッド型に比べ、部品点数の削減や組み立てのしやすさに加え、発光点間隔の精度を±1µm以内に抑えることが可能となり、光学性能の向上も図れるなど、"モノリシック型"ならではの特長を持っています。

2波長レーザー構造図