BrightEra

ソニーは、プロジェクタ用の高温ポリシリコンTFT液晶パネルとして、業界他社に先駆けて無機配向膜と新液晶材料を開発し、0.79型マイクロディスプレイを商品化しました。 そして、この新技術を搭載する高温ポリシリコンTFT液晶パネルを、"BrightEra"と名付けました。"BrightEra"はこれまでにない超高輝度で鮮明な明るさを実現し、プロジェクタを明るさの新時代へシフトしていきます。

※2005年2月 報道発表時

"BrightEra"とは?

"BrightEra"とは、高温ポリシリコンTFT透過型液晶デバイスとして、業界他社に先駆けて開発に成功した無機配向膜と新液晶材料を搭載したマイクロディスプレイデバイスです。
この無機配向膜と新液晶材料は、AVプロジェクタ向け反射型LCOS※1方式液晶デバイス"SXRD"※2の高画質と高耐久性を実現するために、ソニーが開発した独自の技術です。
従来の高輝度プロジェクタには、高輝度化に有利な液晶材料と、これを配向させるのに最適な有機配向膜 (ポリイミド) が使用されるのが一般的でした。
しかし、昨今のビジネスプロジェクタにおいては高輝度化のトレンドに伴い、さらなる高輝度光源搭載とプロジェクタ本体の小型化の要求が加速してきています。
これを実現できるデバイスとして、"SXRD"の技術である無機配向膜と新液晶材料を高温ポリシリコンTFT液晶デバイスに応用展開し、さらに高輝度化に対応した最適化設計することで開発に成功したのが、透過型液晶デバイス"BrightEra"です。

※1:LCOS = Liquid Crystal On Silicon
※2:"SXRD" = Silicon X-Tal (Crystal) Reflective Display

※ "SXRD" および ロゴはソニー株式会社の商標です。

"SXRD"と"BrightEra"構造比較 SXRD 反射型液晶デバイス LCOS、BrightEra 透過型液晶デバイス HTPS

"BrightEra"の主な特長

  1. 配向膜の無機化により耐光性を改善し高輝度化を実現

    大幅な耐光性改善により、より強力な光源が搭載可能となり、さらなる高輝度化と耐光性の向上の両立を実現しました。
    また配向膜の無機化に伴い、従来のラビングによる物理配向処理が不要となり、映像均一性も向上しました。

  2. 新規駆動方式と最先端微細加工技術を導入し、高開口率化と高画質化を実現

    新規駆動方式「倍速フィールド反転駆動」の採用により、従来起きていた画素ラインごとの電圧差による液晶配向の乱れを抑制することで、液晶の有効開口エリアを拡大しました。
    さらに最先端微細加工技術によるTFT素子や電気配線の微細化により、従来比約20%の高開口率化を実現しました。
    また『倍速駆動』の実現により、強力な光照射によるTFT素子リーク成分が半分に低減し、特定パターンにおけるフリッカが大幅に改善しました。

  3. ノーマリブラックモードの採用により、コントラストを改善

    黒表示時に理想的な液晶分子配列となるノーマリブラックモードの採用により、従来方式では光学補償素子の採用によって実現していた高コントラストを、パネル単体で実現しました。

主な特長:
無機配向膜
高開口率化
フィールド反転駆動
ノーマリブラックモード
倍速駆動(60Hz → 120Hz)、
ユーザベネフィット:
高輝度化(信頼性維持/改善)
信頼性向上
コントラスト向上
フリッカ低減

BrightEraを支える技術 断面図

配向膜の無機化

一般的に高輝度プロジェクタに搭載されている高圧水銀ランプから照射される光には、短波長でエネルギーの強いUV光が含まれています。
通常プロジェクタには、このUV光を除去するためのUVカットフィルタが搭載されていますが、微量ながらUV光が透過してしまいます。
"BrightEra"に搭載された無機配向膜は、このUVカットフィルタで除去できない微量なUV光を吸収しにくく、また無機材質によって配向膜自体の分子結合力も強くなることで、より強力な光の長時間照射に対する信頼性が大幅に向上しています。
これにより、さらなる高出力の高輝度光源の搭載が可能となり、パネルサイズを大型化することなく高輝度プロジェクタの実現が可能となります。
また従来の有機配向膜は、配向膜表面をラビング処理することにより液晶を配向させていましたが、配向膜を無機化してその膜構造を工夫することで、配向膜を成膜するだけで配向力が発現するため、物理的な液晶の配向処理が不要となり、非常に均一な映像が得られます。

無機配向膜による高耐光性向上

より強力な光源搭載が可能となり、さらなる高輝度化を実現します。

BrightEra 無機配向膜:・UVの吸収が少ない・分子配合が強い、物理配向処理が不要 無機化図

新規駆動方式と最先端微細加工技術

通常の液晶ディスプレイにおいては、映像の焼き付きを防止するため、液晶セルの画素電位極性を反転駆動させる必要があります。
従来では、60Hz駆動に最適な画素1ラインごとに画素電位極性を反転させる『Hライン反転駆動方式』が採用されていました。
この際、図-1の通り、画素電極間に横電界が発生し、液晶の配向乱れが生じてしまい、白表示に最適な液晶配列が得られず、光の透過率が低下してしまいます。
一方、"BrightEra"に採用された『1フィールド反転駆動方式』は、1フィールドごとに画素電位極性を反転させるため、画素電極間の電界が緩和され、白表示に最も効率的な液晶配列が得られ、高い透過率を得ることができます。
また、合わせて最先端の微細加工技術を採用することで、TFT素子の面積を縮小し、電気配線の微細化が可能となり、従来比約20%以上の高開口率化を実現しました。

図-1 液晶駆動方式比較 液晶配向の乱れを抑制し、高い透過率を実現しました。

ノーマリブラックモード

従来の高輝度プロジェクタには、高輝度化に有利なノーマリホワイトモードが採用されています。
このモードは、白表示時に最適な液晶配列となっており、黒を表示する場合には、液晶セル内へ電界※1を掛けることで液晶を制御する必要がありました。
この際、下図にあるように、配向膜界面の液晶分子が完全に配列できず、光が散乱して光漏れが発生し、コントラストが低下してしまいます。
一方、"BrightEra"で採用されたノーマリブラックモードは、黒表示時に最適な液晶配列となっているため、光の散乱が少なく光漏れを抑えることができ、高コントラストが得られます。
また、電界を掛けた白表示時にも効率よく液晶の配列を制御するため、無機配向膜と新液晶の設計を最適化することで、高輝度化も両立させることが可能となりました。

※1:上部電極と下部電極に電圧を掛け、電位差が発生した状態

表示モード比較 黒表示時に最適な液晶配列となり、光漏れを抑制します。

さらなる高コントラスト化

ソニーは、"BrightEra"に最適化された光学補償板を同時に開発しています。
補償板は液晶パネルの視野角を拡大させるもので、プロジェクタに応用するとコントラストを向上させることができます。
本光学補償板を採用することによって、"BrightEra"のさらなる高コントラスト化を可能としました。

BrightEra+光学補償技術 光学補償 (O/C) の効果により、コントラスト改善率2倍以上を実現します。

従来パネル、BrightEra+高額補償技術:リアルブラック ピュアな色再現

"BrightEra" パネル概略仕様一覧
タイプ 有効画角 画素ピッチ 解像度
H × V
マイクロレンズアレイ 開口率 コントラスト
Instration/High-Endモデル用
  1.8型XGA 1.80型 36.0 µm 1024 × 768 無し 85% 1000:1
 
  1.2型2K 1.19型 13.0 µm 2048 × 1080 搭載 61% 1000:1
  1.2型WXGA 1.22型 19.5 µm 1366 × 800 搭載 75% 1000:1
  1.3型SXGA+ 1.30型 19.0 µm 1400 × 1050 搭載 73% 1000:1
  1.3型XGA 1.30型 26.0 µm 1024 × 768 搭載 80% 1000:1
Portableモデル用
New Model 0.99型XGA 0.99型 19.5 µm 1024 × 768 搭載 86% 1100:1
 
  0.75型WXGA 0.75型 12.6 µm 1280 × 800 搭載 69% 800:1
  0.79型SXGA+ 0.79型 11.5 µm 1400 × 1050 搭載 59% 800:1
New Model 0.79型XGA 0.79型 15.6 µm 1024 × 768 搭載 82% 800:1
Entryモデル用
New Model 0.59型WXGA 0.59型 10.0 µm 1280 × 800 搭載/無し 69% 650:1
New Model 0.63型XGA 0.63型 12.5 µm 1024 × 768 搭載/無し 77% 800:1